Case Studies

名前をなるべくつけない。

ブランドを愛していくためには、愛称としての「名前」は絶対に必要です。しかし、時の経過と同じくして、世の中にはどんどん「名前」が増えていきます。その行為の半分以上は、もしかしたら「とにかく名前が無いと不便」くらいの意識で付けられてしまっているかもしれません。そこで考えたいのはむやみに名前を作り過ぎないということだと私たちは考えます。そのブランドへのしっかりとした愛情の到達地点をしっかり創造すれば、変に名前をつけなくてもいいと考えるのです。
例えば渋谷ヒカリエで採用された「8/」。呼び名は「はち」です。8階フロアに名前をつけて下さいという要望に対する答えとして提案したものです。渋谷の「忠犬ハチ公」の「はち」のイメージも借りました。ネーミングもブランド戦略上、とても大切です。出来る限り取ってつけた名前は付けない。そう考えています。

複数の企業の原点をブランド化する。

どんなに強固な企業でも流行の荒波に大きく影響を受けます。世の中に向けて真っ当なメッセージを持った素晴らしい商品を発信しても、多くの日本人の文化意識、生活意識の中のトレンドや低価格志向が根深く入り込んでいる土壌にすこやかな種や苗を植えても育たないものです。また、あきらめていては、いつまでたってもこの国に真っ当な商品がよしとされる体質にはなりません。流行を意識したものづくりはものづくり経営上不可欠ですが、同時に「いつの時代も変わらない価値」も育まなくては、国も地域も企業も姿勢正しく過ごせません。例えば、一社だけではどうすることもできない規模に、複数社で立ち向かう仕組みを創造する。例えば、みんなで「流行とは違う土壌の畑」を耕し共有する・・・・・・。 デザインでできることはまだまだある。売り場を持つデザイン事務所であるからの発想があります。

新しい売場をつくる。

通常、デザイン事務所は売場に無頓着です。簡単な調査として数日足らずのリサーチとして売場に立つことはあっても、それには限界があります。売場が要求するデザインとは、一般的なデザイナーが想像しているよりもとても難解です。置かれる場所によってはせっかくのパッケージが無意味になったり、シーズニングやGIFT需要に対して向き合えていなかったり・・・・・。売場にとってのよいデザインとは、極論ですが、デザイン事務所自体がストアを経営し、毎日の購買シーンの細かなささやくような瞬間に触れていないとわからないことが多いのです。ということで、私たちは売場を持ちました。すると、接客とデザインはセットではないともったいないなど、多くの「デザインのヒント」に出会いました。売場をしっかりデザインすると、デザインとの相乗効果が実在することを感じます。その体験から、売場自体がどうあるべきかをいつも考えています。

47都道府県単位で考える。

デザイン事務所には様々な視点があります。そして、わたしたちには「47+WORLD」という視点でものごとを考えています。例えば世界に通用する「日本酒」のラベルを考える時、その前に、ものづくりの風土を育んだ「日本」における在り方を整えたいものです。素晴らしい日本の「日本酒」の世界の中でどうあるべきか。戦いの見つめる先は世界でも、個性の成熟は「その土地らしさ」です。47の日本の個性への意識が、結果としての世界への強いメッセージとなります。

私たちは日本で初となる47都道府県をテーマとした物産デザインMUSEUMを所有し、日々、多くの日本デザインやそこに関係する人々と関わる中で、見えることがらをデザイン表現に生かしたいと考えています。企画展と販売は貴重なデザインリサーチとなり、個性あるデザインを生み出す。そう考えています。

食をデザインする。

デザインと「衣・食・住」を切り離すことは不可能です。例えば、料理の経験は器の使い勝手に反応します。また、台所収納を無視した器選びもできません。年間に食べるものと食器と調理道具と収納・・・・。食の喜びは器に反応し、器選びの喜びは家具収納への楽しみ、家への再定義と広がり、豊かな生活への関心につながり、やがて、真っ当な食材や調味料、そういうことを外食でがんばっているシェフへの興味にもつながり、心と体が健康になっていきます。つまり「食」もデザインの重要なひとつなのだと考えるのです。

私たちは全国の特に陶芸の方から食と暮らし方を学び、D&D各店の近隣農家とファーマーズマーケットをやるなど、店に必ず飲食部門を設けることでの交流があります。ただ、器を形だけで選ぶようなデザイン開発はありません。飲食事業と物販、勉強会がもたらすデザインのアイディアを、発揮していきます。

旅を、観光をデザインしていく。

日本に限らず世界中の伝統工芸、産業に関わる職人などは若々しく代替わりし、その世代特有のネットワーク、デザイン的感覚は、既存の「観光」「物産」の若返りを強く求めています。その欲求が満たされないと彼らはネットや都会へ進出する行動力を持っています。しかし、産地のことを考えると、素晴らしい技術を受け継いだ彼らは風土豊かなその土地にとどまり、歴史を塗り替え、継続しながらその土地の個性を育み続けた方がいいと思うのです。つまり、「観光」が彼らと同じ感性で進化したらいいのです。

私たちはデザインの感覚を生かし、47都道府県を平等なページ数で1年に県分づつ発行しています。そこで具体的に交流した関係はd47に蓄積され、展覧会企画や物産の販売、定食への定着されています。観光PRの不得意な産地にこそ、デザインと若い感性で多くの人をその土地へ。デザイントラベルを広めていきます。

学びをデザインする。

生活道具には形としてのデザインとそれをどう使うか、手入れしていくのかの現実があります。ものを買ったからといって、すぐに生活が豊かになるわけではなく、例えば、漆椀に注がれる天然素材でのお味噌汁があり、その材料にたどり着き、そして、出来る限り自分の家の食卓で家族と食事する時間が継続的に作り出せる生活の積み重ねが「豊かさ」と言うのであれば、まず、そこを入り口として出口に「漆椀」というモノがあるのが正しいと考えます。デザインされたモノがあり、使い方、手入れ、修理の仕方がある。もてなしの食卓の配膳があり、料理がある。その「モノ」以外のいろいろな生活の創意は、誰かから学ぶ必要があり、その学びの印象こそが、生活に興味を湧かせる入り口だと思うのです。つまり、その入り口をデザインしていくことこそが、モノを大切に使い、生活を作り続けて行くまさに入り口。そこにもデザインが不可欠だと考えています。

書籍にしていく。展覧会にしていく。

私たちには2つのこだわりのスタイルがあります。1つは「書籍にする」。もうひとつは「展覧会にしていく」です。商品にパッケージデザインやカタログがあるように、素晴らしい「モノ」をより継続的に時間を共有しながら伝えるには、しっかり後々にも読み語り伝えることができる「書籍」にすべきだと考えています。また、トークショーなどの立体的な学びの場所とともに、ものに対して向き合う「展覧会」「企画展示」は、日常から少し距離を置いて背筋を伸ばして様々な「真意」を眺め考える大切なものだとも考えています。 デザイン事務所としてギャラリーを持っているのも、そんな理由から。どちらも本当の魅力を整理、編集し、その魅力に全く触れたことのない人々へゆるやかに伝える素敵な方法だと思っています。デザインで依頼者の魅力を整理していく。私たちが日頃行っている展覧会企画や書籍編集は、そこに役立つものと思っています。